学校や塾で勉強している時や、仕事をして働いている時にあなたは何を思って行動していますか?もしかしたら「やらされてる」とか「将来の自分のために!」と思ってやっていることが多いと思います。しかし、今回紹介する吉田松陰さんと稲盛和夫さんはどんな時でも受け身の思考や利己心によってではなく、公共の利益、利他という思いに突き動かされて行動されてきました。この姿勢には学ぶところがたくさんあり、日本の精神の高潔さを見ることができると思います。では、心震わせてみてください!
1.かくすれば かくなるものと 知りながら やむに已まれぬ 大和魂 吉田松陰
勝因の魂の根幹にあるのは、「私より公を優先させる」ということです。司馬遼太郎の小説「世に棲む日日」(文春文庫)には印象的な場面があります。松陰が幼いころ、叔父の玉木文之進が勉強を教えています。夏の暑い日のこと、あぜ道で本を開いていた松陰は、汗を寄ってくる虫で顔がかゆかったので掻いた。すると文之進は「それでも侍の子か」と言って殴り、起き上がるとまた殴り、ついに庭の前のがけまで行ってそこから突き落としました。松陰は気絶。それを見ていた母親は「死んだ」と思いました。
文之進曰く、おまえはいま、自分のために勉強しているのではない。これは世のため、藩のため、日本のためにしている勉強である。その勉強をしている時に顔を搔いて「私」を満足させるとは何事か、というのです。そんなすさまじさで入魂されたわけです。
松陰にとって、「日本をどう守るか」が課題でした。自分が利益を得ようなどとは全く考えていません。
名言「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂」にも、「私より公」がよく表れています。現代語訳すると「このようなことを実行すれば、こうなるとはわかっていたが、やむにやまれぬ気持ちから踏み切った。これが私の大和魂なのだ」ということです。
この歌を詠んだのは、海外密航を企てた罪で江戸の牢獄へ送られるとき。1854年の「下田踏海」といわれる事件です。鎖国中だった当時の日本では、密航の罪は重く、死刑でした。松陰も十分わかっていたことです。それでも、どうしても世界を見なければならない。日本を強い国にし、独立を守るためにはこのままではいけない。その情熱に突き動かされ、弟子の金子重之輔とたった二人で、深夜の荒波の中ペリー艦隊に小舟で向かったのです。 そして、自分たちもアメリカへ連れていってほしいと頼み込みました。ところが、この願いは聞き入れてもらえませんでした。ペリーとしても松陰の気持ちは理解できるけれども、和親条約を結んだばかりのこのときに密航を黙認することはできなかったのです。
しかし松陰の命がけの行動はペリーに日本人の力強さを印象づけました。『ペリー提督日本遠征記』(M・C・ペリー著 角川ソフィア文庫)には、教養ある二人の命がけの行動を興味深く感じ、「この日本人の性向を見れば、この興味深い国の前途はなんと可能性を秘めていることか、そして付言すれば、なんと有望であることか!」とあります。 陸に返された松陰は、死刑を覚悟しつつ自首します。そして、下田から江戸へ護送されているときに「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂」と詠んだのでした。自分が捕まるというのは「私」のこと。「公」のことを考えれば、黒船に乗り込み、敵を知るべきだ、そうするのがベストだと松陰は思ったのです。それが大和魂というものだと言っています。
齋藤 孝. 100年後まで残したい 日本人のすごい名言 (pp.93-94).
2.動機善なりや、私心なかりしか 稲盛和夫
思いは必ず実現すると軽く言うけれども、ある人は人生がうまくいきある人は人生がなかなかうまくいかなくて苦しんでおられるとすれば、その思いがどのレベルで思っているかによるんです。思いには質があるんです。つまり知性のレベルで思うということは高級そうに思いますが、そうじゃありません。もっともっと心の奥底、良心のレベルで思うということ。もしくは利他というレベルで思うということ。そういうことでなければ思いというのは実現しないんだということ。
大きな夢を描き、それを実現しようとするとき、「動機善なりや」ということを自らに問わなければなりません。自問自答して、自分の動機の善悪を判断するのです。
善とは、普遍的に良きことであり、普遍的とは誰から見てもそうだということです。自分の利益や都合、格好などというものでなく、自他ともにその動機が受け入れられるものでなければなりません。また、仕事を進めていく上では「私心なかりしか」という問いかけが必要です。自分の心、自己中心的な発想で仕事を進めていないかを点検しなければなりません。
動機が善であり、私心がなければ結果は問う必要はありません。必ず成功するのです。
稲盛和夫 信念を高める 京セラフィロソフィ
いかがでしたか?お二方の強烈な思い、行動力に何か感じるところはありましたか?少しでも感じるところがあったのなら日々の自分の行動を少しでも変えるきっかけになればと思います。
また彼ら偉大な先人たちが今の日本の礎になっているということを考えると我々も日々の人生をこの日本の将来、子供たちのために何か少しでも貢献できるといいなと感じております。また、その行動自体が自分自身のより豊かな人生を創るものだと信じております。今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。